全国の人間ドックの受診者の33%、すなわち3人に1人に肝障害があります。
その大部分が脂肪肝です。
脂肪肝は肥満や糖尿病に伴う過栄養性とアルコール性があります。
脂肪肝である場合1日平均アルコール摂取量が男性30g以下、女性20g以下であれば、非アルコール性と診断します。
エタノール20g/日以下の飲酒でもアルコール性肝炎と類似した病理組織像を呈し、肝硬変から肝癌へと進行する脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼びます。
肝硬変の成因は、約8割が肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)感染ですが、アルコールや非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も原因となることは注意すべきです。
しかし、NASHの診断は肝生検が必須なために、日常診療でNASHの診断をする機会は限られています。
近年、NASHが増加傾向にあります。厚生労働省研究班による全国集計によると、NASH症例は、約100万人いると推計されています。
脂肪肝は、肝臓が発する生活習慣に対するイエローカードであるため、動機づけ面接法などを取り入れて患者教育と生活指導を十分に行うことが基本です。
NASHの治療では、食事と運動による体重の減量が必要です。
ビタミンEウルソデオキシコール酸、インスリン抵抗性改善薬などの有効性が報告されています。
アルコール性脂肪肝の治療法は断酒または節酒に尽きます。
組織による確診が無い場合には非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びます。
妊娠末期には妊娠性急性脂肪肝を発症することがあり、この場合が分娩の促進や人工流産を行い、劇症肝炎に準じた治療が行われます。
脂肪肝予防のための高円寺南診療所からのガイダンス
お酒の1単位=エタノール(純アルコール)20g
お酒の1単位を超えて飲酒すると、脂肪肝のリスクが発生するため、1日の飲酒量が
1単位を超えないようにしましょう。
アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gです。
この1単位を各種アルコール飲料に換算すると、
ビールは中びん1本(500ml)、
日本酒は1合(180ml)、
ウイスキーはダブル1杯(60ml)、
焼酎0.6合(110ml)が目安となります。
複数種類のお酒を呑んでいる人は、単位数が加算されますので要注意です。
参照:NASH・NAFLDの診療ガイド2015(日本肝臓学会)
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